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女性リーダーの育成が旅行業を変える

JATA×JWTC  第4回勉強会
日本旅行業協会 運営役員・日本旅行業女性の会 第5代会長 木島榮子氏 講演採録


2014年7月3日(木)参加者72名(JATA26名、JWTC46名)

観光ジャーナリスト 千葉千枝子
今回で4回目を数えるJATA・JWTC合同勉強会が、去る7月3日、霞が関(東京)のJATA会議室で開催されました。講師はJATA運営役員でJWTC第5代会長を務めた木島榮子氏。株式会社カーニバル・ジャパンの代表取締役として、プレミアムクラスの客船プリンセス・クルーズなどを手がける“時のひと”だけあり、会場は熱気に包まれました。

   「いつのまにか、こうなった」
   激動の時代に日本旅行業女性の会を創設

カーニバル・ジャパン木島榮子氏講演採録

1980年、旅行業界で活躍する女性の仲間たちで立ち上げたのが、日本旅行業女性の会JWTCです。その5代会長を務めました。当時から女性は活躍こそしていましたが、表立つことはありませんでした。男性には横断的な組織があるのに、女性にはなかったのです。

 80年代後半は、女性の地位向上や労働条件など法整備の黎明期でした。女性の社会進出に気運が高まるなか、男女雇用機会均等法(1986年)が施行され、あれから約30年。ですが欧米諸国に比べると、日本は未だ遅れています。安部首相が女性管理職比率3割を掲げていますが、JWTCではすでに30年前から、こうした主旨で活動を続けてきました。

 旅行業界は、6割を女性社員が占める職場です。異業種に比べ、女性の活躍の場がもっと広がると信じています。社内で活躍するだけでなく、もっと対外的に活躍する場を会社が女性に与えてほしいと思います。そのような場を与えられたら、女性もしっかりと受け止めてほしいと願います。

今回は、私のこれまでの49年という仕事歴から、「なぜ、今の私があるのか」を知っていただければとおもいます。振り返りますと、株式会社リクルートの代表取締役社長を務めた河野栄子さんが、かつてインタビューで「いつのまにか、今の立場になってしまった」と答えておられましたが、まさに私も今、同じ想いにあります。


   ジェットツアーの倒産を機に独立
   四半世紀の実績が買われプリンセス・クルーズを

カーニバル・ジャパン木島榮子氏講演採録

役職を得ると、男性からのやっかみも出てきました。そのうち株式会社ヴィーヴル(西武百貨店旅行事業部と統合。現在の株式会社PTS)から誘われ、転職をします。やがて海外の旅行見本市に参加する機会を得ました。日本からの参加者は男性ばかりですが、欧米は女性が大半でした。欧米の旅行業界は、女性の役職者が大半であると実感しました。

ヴィーヴルでは、プリンセス・クルーズなどの客船会社とGSA(日本総代理店)契約を結び、別会社を造りました。その後、当時のホールセーラー大手・株式会社ジェットツアーの100%子会社であるクルーズ専門会社の総支配人に招かれ、本格的に船の道へと進んだわけです。

1998年、ジェットツアーが倒産の憂き目のとき、わずか1日の綱渡りで独立をすることになりました。劇的な経験でした。独立後、一度も赤字を出すことなく順調にやってこられた理由は、ある意味、女性特有の“大きな冒険をしない”ことにもあったのかもしれません。

2年前、プリンセス・クルーズから、日本市場を開拓したいと申し出がありました。この四半世紀の実績が買われ、社員や今までのノウハウを「カーニバル・ジャパン」として継承しつつも、経営を米国の会社に委ねたのです。自身の、日本市場にクルーズを浸透・拡大したいという願いが、今につながっています。


   1歩前をみること、
   チャンスを与えられたら積極的に受ける

カーニバル・ジャパン木島榮子氏講演採録

女性の皆さんには、1歩、前を見てほしいとおもいます。3歩も5歩も先をみると失敗することもあります。

今までやってこられたのも、男性の上司のお蔭でもあります。ここにいる男性の方も、女性へ仕事を与え、与えられた女性は自分の仕事として責任を全うしてもらいたい。最近は女性の対外的にも活躍が目立つようになってきました。女性は経済的にも堅く、その利点を男性は、積極的に活かして欲しいです。そして女性は、特有の感性を発揮していただきたい。女性のきめ細やかな感性を、商品造成や販売、マーケティング、あらゆる分野で十分発揮できるような環境づくりを男性諸君にはお願いしたいとおもっています。

さらに女性には、もっと外に出して欲しいと願ってィアm素。JATAでも女性の運営役員にこのたび、村山とよ子氏(株式会社村山ツーリストビューロー)が入られて後進にバトンをつなぎましたが、それでも絶対数が少ないものです。

特に大手旅行会社は、女性をもっと外で活躍できるよう変革していただきたいと願っています。

常に自然体で、身の丈をみるのが私のポリシーです。チャンスを与えられたら、積極的に受けて欲しいとおもっています。



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